12月 2, 2021

Black Block 社のモバイル向けサンドボックス MMO「Retroit」で、プレイヤーは車のハンドルを握り、ライブストリーミングの視聴者は都市の変転を担う


ヘルシンキを拠点とするBlack Blockは、RovioやRockstar Games、Crytek、Psygnosisなどから才能ある人材を集めた新しいスタジオで、モバイルを優先デバイスとした都市規模の永続的サンドボックスMMOを開発しています。 「Retroit」は、事実「グランド・セフト・オート」(GTA)や「アングリーバード」で鍛えられたエンジニア陣によって構築されており、現実の都市と同じように機能することを目指しています。

常時オンラインのサンドボックス型都市という大規模なオープンワールドを舞台にした「Retroit」では、プレイヤーはさまざまな車のハンドルを握り、バラエティーに富むミッションに挑戦したり、いろいろな仕事をこなしたり、車を使って騒動を巻き起こしたりします。 誰も車から降りない「GTA」があったとしたら、それは「Retroit」に似ているかもしれません。 But Retroit will be the first mobile game to feature interactive livestreaming, meaning viewers will be a constantly changing part of Retroit’s society. 少なくとも見た目の上では。ですが、インタラクティブなライブストリーミング機能を備えた初のモバイルゲーム「Retroit」では、視聴者は「Retroit」という社会の絶え間ない変転の一端を担うことになります。

Retroit」は、現在EUのいくつかの地域で初期テストが行われています。 Black Block社の共同設立者兼CEOであるRobin Squire氏は語っています。「あらゆる種類のデバイス上のライブストリーミング視聴者がアクションに直接参加できるとなると、このゲームはある意味、最初から『クロスプラットフォーム』だと言ってもいいでしょう」

Retroit」のチームは、ゲームの構築やインタラクティブなライブストリーミング機能の実装について哲学的な考えを持っています。 もう一人の共同設立者であり、「GTA」開発チーム出身のチーフ・プロダクト・オフィサーPaul Kurowski氏は、次のように説明しています。「そもそもの端緒は、あるひとつの疑問でした。それは、『もし社会を創造し発展させる上で、人々が自身の代理となるエージェントを持つことができたら、どんな社会を人は作り上げるだろうか?』というものです。ですので、ここではどのような社会を作るのかを決定していく上で、プレイヤーに、そして別の次元で視聴者にも、権力がゆだねられています。 彼らは政府にもなれるし労働者にもなれます。自分たちで規制や法律を作ったり、破ったり、取り締まったりすることができます。犯罪多発地域や高級住宅地もあるのか、ですか?どうぞ楽しみにしていてください!」


ストリーミングの視聴者は特別なマップを表示させ、プレイヤーが見ることも使うこともできない防犯カメラをコントロールできる

興味深い比較対象として、あるいはインスピレーションの元としてチームは「ザ・シムズ」や「シムシティ」を挙げていますが、「Retroit」はサンドボックス型MMOというジャンルを一歩前へ進めることを念頭に置いており、むしろそれらとは一線を画す作品です。 「インスピレーションの源は、100%現実の世界です」とPaulは語っています。 Robinも補足します。「究極的には私たちはサンドボックス型の社会実験を目指しています。自分たちの住む環境に変化をもたらすためのシステムやツールを、プレイヤーに、そしてより広い層のゲームコミュニティに提供する。それで、その結果がどうなるかはわからないわけです。そこが一番面白いところですね」

Retroit」を既存のサンドボックス型MMOと比較して、Black Blockのチームは革新的な点をいくつか挙げています。 「これはモバイルファーストのゲームです。PCやコンソールのMMOと同じくらいの野心を持って開発していますが、私たちが重視しているのは、本当に魅力的で長く遊んでもらえるモバイル体験を実現するための機能やシステム、デザインです」とRobinは続けます。 「私たちは、技術的な限界を押し広げながら、人々が自分たちの生活に溶け込めるような体験を構築することに注力しています。 クロスプラットフォームへのアプローチもまた既存のものとは異なっています。すべてのプレイヤーにとって最高の『Retroit』となるように、私たちはゲームをそれぞれのプラットフォーム対応させることにしました」


ライブストリーミングの視聴者は、ゲーム内にプレイヤーを助けたり妨害するアイテムを投入できる

こうしたことは、Genvidのテクノロジーのもたらす統合のおかげで、プレイヤーのみならず視聴者の側にも言えることです。視聴者は、他のモバイルタイトルでは見られないような方法でゲームのなかにエージェントを持つことになります。 「視聴者に、街のオーナーシップ権限の一小部分を分け与えることで、街の発展に関わっているように感じてもらい、最終的には視聴者というだけではなくプレイヤーにもなってもらうのが理想です」とRobinは言います。 「視聴者のインタラクションやオーナーシップ権限はさまざまな形を取ります。例えば単純にいろいろな挙動のオブジェクトを対向車線に投入したり、あるいは法的機関に代わって防犯カメラを操作したり、街の行政を形づくる手助けをすることだってできます。」

Paulも賛同します。「開発において私たちは、プレイの長さに関係なくスキマ時間に遊べるよう、マイクロインタラクションを念頭に置いています。携帯電話ですし、皆さんはゲームに参加して、何かに投票して、すぐに中断できるように作られています。何かを待っている間に、ミッションを1つ2つこなすこともできます。ライブストリーミングについても同じことが言えます。このようにアクセスしやすいゲームでは、視聴者は一日中ブラウザのタブを開きっぱなしにして実際のプレイヤーに影響を与える決断をいくつも下すでしょうが、実際に見ている時間は15分ないしは30分程度でしょう。」

Black Blockは工夫を凝らして、プレイヤーにも視聴者にも無限大の広さを感じさせる常時接続の都市環境を作り上げました。 「デザイン上の理由、そして技術的な理由からも、ひとつの環境に現実の都市規模の人口を同時に存在させることは実際にはできません」とPaulは話します。 「それでも、ストリーミング視聴者が都市のシステムに対して、瞬間的あるいは長期的に何らかの影響を与えられるようにすることで、実際のドライバー数をはるかに上回る数の仮想の人口を創出することができるわけです」

同等の技術を社内で開発するのではなく、Genvid SDKを利用したことで、どれくらいの時間とリソースを節約できたかと質問したところ、Robinは笑って答えました。 「自分たちで作ることもできましたが、長い道のりになったでしょうし、もし作ったとしてもGenvidとは違って、ひとつのストリーミング・プラットフォームにしか対応できなかったでしょうね。ですが、こうしてインタラクティブなライブストリーミングが企業戦略の重要な柱として確立された今、それはデザイン哲学に浸透しつつあります。モバイル開発の経験が深まるにつれ、これからも着実な発展が見込まれるでしょう」